日本の伝統技法である七宝焼を、独特の世界観で表現する七宝焼作家、植木未斗氏。 技法や素材そのものの魅力を最大限に引き出し作された「kimito」アクセサリーの数々は、着物雑誌やメディアでも取り上げられ注目を集めています。「クラフトマンシップ」にこだわるおびどめ屋wargoとのコラボレーションにちなみ、植木未斗氏が愛用している道具たちにスポットをあてました。
kimito 日々を彩る装飾品にこだわった七宝焼
日本でも古くから愛されてきた長い歴史を持つ七宝焼ですが、未だスポットのあたっていない技法がたくさんあります。そのためkimitoでは「こうあるべき」という概念を捨て技法や素材そのものの魅力を最大限に引き出すデザインにこだわることで、華美なものではなく日々を彩る装飾品としての新たな七宝焼を提案しています。
七宝焼へのこだわりは焼き付けから
七宝焼の定義は「金属板にガラス質の釉薬を高温で焼き付けたもの」と極めてシンプルです。 軽い仕上がりにするために薄い銅版を使うkimitoの帯留めは、強度を増すために両面をガラス質の釉薬で覆っています。そこで必要になるのがこの「鞍」。帯留めを四つ叉に面ではなく点で置き焼成します。不安定な鞍でもあるため、窯に入れるのは一つずつ。一つ一つ丁寧に、工程ごとに焼き付け仕上げていきます。何年も使っていると、ステンレス製のこの鞍にも少しずつガラス質の釉薬が焼き付いていき、さまざまな釉薬が重なることで玉虫色の美しい輝きを放ちます。使い込むほどに美しくなるのが道具のおもしろさでもあります。
ダイヤモンドで研磨 使い込まれた自分仕様のパッドで仕上げ
天然の鉱物の中で一番硬いとされるダイヤモンドは、ジュエリーの形をしたものを思い浮かべるかたが多いと思いますが、研磨の素材としても使われます。 スポンジ状の土台にシートになって敷き詰められたダイヤモンド。制作の途中では電動で動く工具も使用しますが、仕上げの研磨は手作業でひとつひとつこのダイヤモンドパッドを使用して丁寧に行います。三種類の粗さの異なるものを使用していますが写真の一番上にある使い込まれたダイヤモンドパッドが最終仕上げ用。触ってもざらつきを一切感じないほどにすり減っていますがその目の細かさが仕上げにぴったりなのです。
正確な時を知らせじっくり完成へと導く砂時計
一分を基準に焼成するため、必須なのが一分計。 ひとつの帯留めに対して、工程ごとに焼き付けるため平均して五回ほど窯から出し入れします。 やはり緊張感のある砂時計が使いやすい。 音もなく静かに知らせてくれる短い時間。 その積み重ねが完成へと導きます。
植木未斗さんプロフィール
1990年生まれ。東京都出身 書道家の両親の元、幼少より書の教育を受ける。 16歳の時、七宝焼に出会い、その無限大の表現方法、一発勝負に賭ける緊張感に強く惹かれ、この技法と共に表現者としての道を歩み始める。 2011年 一年間のドイツ留学 2012年 七宝焼の帯留めブランド〈 七宝焼kimito 〉を立ち上げる 着物雑誌での掲載やSHARPのコマーシャルに帯留が起用される等メディアでも活躍。 七宝焼の美しさを引き出す表現を求め日々活動を続ける。
kimito
kimitoは、日本の伝統工芸である七宝焼きを用いた帯留めの制作・販売を中心に展開しています。手に取った瞬間に感じる一点物ならではの特別感は、皆さまの個性を最大限に引き立たせ、暮らしにより一層の彩りを添えます。 デザイナー植木未斗の名前から生まれたkimitoは、「君と」永遠に寄り添うアートで在りたいと言う願いを込めたブランドです。伝統工芸をより身近に、アートをより気軽に楽しめる商品制作を心掛け、kimitoは「君と」繋がっていきます。 ■kimito ホームページはこちら ■kimito facebook
いかがでしたでしょうか。なければ道具も作る、植木さんのブランドへの想いが感じられました。今回コラボいただいた3種類の「ひとつまみの輝き」シリーズはもともとkimitoの人気ラインナップ。落ち着いた色合いのこれまでのシリーズとはまた違う「輝き」を見せてくれています。ぜひ手にとってみてくださいね。
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