浴衣には、「織り浴衣」「染め浴衣」の二種類があります。「織り浴衣」は様々な色の素材を用いて織られた浴衣であることに対し、「染め浴衣」反物に染料を染み込ませたものを織って浴衣に仕上げたものになります。今回は、そんな染め浴衣に見られる模様の、「雪花絞り」についご紹介いたします。
雪花(せっか)絞りとは?
布に圧力をかけて染料を染み込ませる「絞り染」によって生み出される模様の一種です。 その見た目が雪の結晶、すなわち雪花に似ていることから「雪花絞り」とよばれるようになりました。 雪の結晶を思わせる六角形の中に六枚の花びらが映し出されて、反物一面に敷き詰められており、その様は万華鏡のようにも見えます。一言で雪花絞りと言っても、絞り方を工夫すれば、小さな花のように見せたり見た目に変化をつけて様々なパターンを生み出すことができます。
雪花染はができるまで
染めたい布を三角形になんども重ねて折り畳み、各鋭角の部分を染料に数秒つけることで、雪花染の形が布全体に広がります。染める時間を長くした場合と短くした場合とで違った雰囲気の模様を楽しむことができます。一度作ったものを忠実に再現するのはなかなか難しく、一期一会の染物となるわけですね。 布で行うと手軽ですが、反物全体、それも染具合が均等になるようにするには熟練の職人の技が必要になります。
雪花絞りの魅力
雪花絞りの魅力といえば、染めの技法による絶妙なぼかしの入った柄です。独特のぼかしで浴衣を着用した人に柔らかく、おとなしい印象をもたせてくれます。名称の由来が「雪の結晶の形」であるので、涼しげで爽やかな印象も求めたい時にオススメの柄です。 また、色にも様々なものが存在し、大人っぽさを演出してくれる藍色、優しい雰囲気の緑、明るく可愛らしさのある橙色などのバリエーションも存在するので、自分の好みに合わせた浴衣選びが可能です。 伝統の技の光る柄の浴衣は、改めて見ると画期的なデザインとなり、現代でも魅力的に映るでしょう。