七宝焼は室町時代から続く伝統的な工芸技法。桂離宮の中書院の引手などにも七宝が用いられています。様々な色に発色する「七宝釉薬」という特殊なガラス質を焼き付けて作られます。その多様な輝きと精緻な装飾から、金銀瑠璃に匹敵するほど美しいとされ「七宝」と名付けられました。今回かんざし屋wargoとコラボレーション簪を作成いただいた山本美術 山本慶子さんの京七宝への想いを寄せていただきました。
世界に名高い「京七宝」とは
京の七宝は、室町から江戸前期にかけて一世を風靡した琳派の時代を背景に、金工や京焼きの技術と呼応しあって開花しました。明治時代に京都三条に工房を開いた不出世の七宝家、並河靖之(なみかわやすゆき)名人により確立され、京七宝の名が世界へと広りました。
七宝焼が「好き!」の気持ちが伝統の美しさを活かしていく
京七宝職人、山本慶子さんは京七宝の販売員時代に、独学で技術を習得、さらに見聞きした各工程の技法にご自身の工夫を日々重ねていらっしゃいます。そのキャリアは30数年。京七宝焼とひたむきに向き合う原動力は「好き」という気持ちだそう。 「先人の技に少しでも近づけたい」 とにかく作る気持ちを楽しむ姿勢から、和洋の建築や美術品などからヒントを得て描き溜めたデザイン帳は7冊を超えます。 「一人でも多くの方に七宝を使っていただき、100年経っても色も質も変わらない七宝の良さを知っていただければ」 新しい美意識が京七宝の伝統の美しさを活かす。伝統を重んじつつ現代の日常生活で気軽に楽しんでもらえる簪がコンセプトのかんざし屋wargoとのコラボレーション簪にもその想いが宿っています。
山本美術 山本慶子さんプロフィール
1963年京都市生まれ。稲葉七宝(株)に勤める。旦那様と結婚(山本美術象嵌製作所)。稲葉七宝の廃業後、七宝製造を始め社名を(有)山本美術に変更。七宝製造約30年。京七宝組合会員。現在に至る。
いかがでしたでしょうか。山本さんの想い、簪という日本古来からのヘアアクセサリーを現代にアレンジするwargoと通じるものを感じました。是非京七宝の華やかな輝きを普段のおしゃれに取り入れてみてください。
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kimito 道具と重ねる七宝焼の輝き