京七宝とは
七宝とは、金属の上から釉薬を焼き付けることによって作られる金属工芸の総称です。独特の美しさから、その名は仏典にある七宝に由来するものとも言われています。中でも京七宝は、室町時代から江戸時代前期にかけて一世を風靡した琳派の時代を背景に、金工や京焼の技術と呼応しながら独特の進化を遂げてきました。京都の時代と土地が育んだ、現代に続く伝統工芸です。
京七宝の歴史
日本の七宝は7-8世紀頃に作られた、牽牛子塚古墳の「七宝亀甲形座金具」が最古のものと考えられています。京都では、17世紀に平田彦四朗道仁が数々の寺社仏閣に七宝を施したものが隆盛の起こりであると考えられています。その後、弟子たちの手によって技術は引き継がれ、聚楽第、桂離宮、本願寺など様々な場所に七宝の引手や釘隠しなどの装飾を施し、その多くが現在にも残っています。
また幕末に、ドイツ人のワグネルが来日した折に透明の釉薬を開発し、現代に連なる近代的な京七宝が完成したと考えられています。
取り扱いの注意
京七宝は、衝撃によって割れてしまう場合があります。ガラス製品と同様の丁寧なお取り扱いをお願いします。ご利用後は柔らかい布で軽く拭いてから収納してください。