今こそ見直したい、和風の魅力
和風とは、日本古来の文化を感じさせる物事に対して使われる言葉です。「和」とは、もともと「調和」「均衡」を指す語。四季折々の季節を楽しみ、自然との調和を大切にする日本古来の精神性による文化が「和風」であると言っていいでしょう。厳密な定義というよりも、芸術や文化において「日本的である」と感じるものを形容する言葉です。中国からの影響を指す「唐風」、西洋の影響を指す「洋風」と対比して用いられます。
自然と融和し異を排さない日本文化は、国際化社会の中で再評価されています。世界の様々な文化と比較し、改めて日本の良さに気づく人も多いのでしょう。 和ブームとも言われる昨今、普段の生活やファッションに積極的に和風アイテムを取り入れる人が増えています。西洋化されたものに取り入れても違和感なく、かつ個性を発揮してくれるのが和の魅力。これまでの生活やワードローブを一新しなくとも、一つ和風アイテムを取り入れるだけで和風気分を楽しむことができます。 世界に誇れる和の文化を、まずは身近なところから取り入れてみてはいかがでしょうか。
江戸に学ぶ「粋」の楽しみ
日本の美意識を象徴するキーワードに「粋」があります。広辞苑によれば「粋―気持ちや身なりのさっぱりとあかぬけていて、しかも色気を持っていること」。日本独自の文化が花開いた江戸時代に生まれた概念です。 江戸時代は庶民の時代。贅沢を禁じる奢侈禁止令により華美な装飾は避けられましたが、派手ではないが地味ではない、洗練された装いがよしとされるようになりました。 無地の羽織の裏には手の込んだ柄を配したり、家紋や柄物に言葉遊びを取り入れたりする江戸っ子のお洒落は、粋の賜物。また、使い込むことで色あせたり、擦り切れたりするのも味わいのうちとされました。一つのものに愛着を持ち、長期の使用に耐える良い品を選ぶの庶民の知恵です。
江戸庶民が普段身に着けたのは、綿や麻の着物や木や銀のかんざしなど、天然素材ばかりです。国が違っても、人の営みは同じ。素材感を活かし生活に根付いた江戸の装いは、欧米のカジュアルファッションと同質といえるでしょう。Tシャツやデニムに和柄アイテムを合わせて映えるのも当然です。粋の反対である「野暮」にならないためには、細部にまで気を抜かないことが大切で、これも洋の東西を問わずカジュアルスタイルの鉄則です。粋とは身なりだけでなく、生き方を指す言葉だといわれます。和風ファッションが人気を集めるのは、こうした日本の精神性に立ち返らせてくれるからなのかもしれません。